この春に岩波現代文庫に茨木のり子さんの掲題の本が収録されました。本屋さんの店頭に並んでいて知っていましたが、手に取らずにいました。
本の題名になっている「自分の感受性くらい」の詩は、著者の作品の中で最も有名で、人気が高い作品ではないかと思います。
「自分の感受性くらい」が収められた詩集をすでに持っているのですが、また買ってしまいました。
時代を言い訳にしないよう、著者に叱って欲しかったのだと思います。年を重ねるにつれて、叱られる機会がめっきり減りました。買って正解でした、何度読んでも励まされます。
この作品は1975年1月に発表されています。まだまだ男女差別がいろんな所に顕在化していた時代です。人々の意識の中に、「らしさ」がしみ込んでいる時代でした。
昨今の新入社員の早期離職が心配です。理想と現実とのギャップに挫折しそうになった今を生きる若者に、「自分の感受性くらい」が響かないかなと思いました。著者の矜持と凛とした姿勢に時代を超えて共感しないかなと思いました。
叱られた経験が少ない今を生きる若者は、ひょっとしたらウザイと感じるのかもしれませんね。『自分の感受性くらい』の売れ行きと購買層が気になります。
私が若者だった頃は、両親、祖父母、兄弟、担任の先生、部活の顧問・コーチ・先輩、近所のおじさん・おばさん、友人の家族、親戚のおじさん・おばさん、同級生、会社の上司・先輩・同僚、取引先等々、愛情をもって本気で𠮟ってくれる人が周りにいっぱいいました。
有難い時代でした。