少し前ですが、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆著 集英社新書)という新書が本屋にいっぱい並んでいました。新聞の書評欄にも紹介があったので読んでみました。

「ノイズ」ということばが印象に残りました。「読書とはノイズである」、「自分と関係がない情報というノイズ」、「自己啓発書はノイズを除去する」、「読書は、労働のノイズになる」、「過去はノイズである」、「情報とは、ノイズの除去された知識である」等々。

著者は決して読書を否定しているのではなく、労働と読書の歴史を分析して「働いていても本が読める」健全な社会にしたいと願っています。ご興味のある方は是非ご一読ください。

自分と読書について考えてみました。サラリーマン時代はベストセラーになっているような自己啓発書やビジネス書が多かったように思います。仕事に役立てることを目的に読んでいました。

ミステリー小説にのめり込んだ時期もありました。仕事に追われている日常からの一時的な逃避だったかもしれません。

少年野球に関わっていた8年間は野球の指導や技術に関する本を読み漁っていました。誤った指導をしないためと正しい身体の使い方を教えるためでした。

今は自ら知りたいことを読む読書です。知りたいことは尽きないので読みたい本が増えるばかりです。今の私のように読みたい本が読める労働環境が、前掲の著者が目指す社会なのだと思います。

今の私は忙しくて本がまったく読めない状況が数日続くと、不機嫌な自分になってしまいます。労働は心身のバランスが壊れない程度にしたいものです。

やはり読みたい本の読書は、働き盛りのサラリーマン、創業間もない起業家、成長著しい会社の従業員、変革期にある会社の従業員、働く子育て世代等々には中々難しいことかもしれませんね。