「『スキルのデフレ化とセンスのインフレ化』はあらゆるジャンルで進行している」と本の帯にある言葉に反応してある新書版を買いました。単行本が出版されたときも手に取ったのですが、その時は題名がストレートだなと思って買いませんでした。
今回この本を読んで大学1年生の頃を思い出しました。私の担任の先生がドイツ語の教授で、ドイツ語初級を受講していました。初めての前期試験で必須単位としては唯一単位を落としてしまいました。必須単位を落とすということがどういうことかをそのとき初めて知りました。
単位を落としたことが発表された当日に、その教授の部屋に呼ばれました。今も明確に覚えているのは以下のような話でした。
「点数的には「可」でもいい点数だと言えるかもしれません。但し、ドイツ語の基礎を理解していないことが明らかなので、敢えて落としました。もう一度、基礎から学んでください。文系は「センス」です。「センス」を磨いてください。「センス」は磨き続けないと錆びてしまいます。社会では通用しません。」という内容です。
当時はその言葉の意味の半分も理解できていなかったかも知れません。また翌年に新1年生と一緒にドイツ語初級を受講することへの反発もあったと思います。
社会人になって随分経ちますが、お同じような言葉をいつの間にか発している自分がいました。